ペインコントロール
~当院での手術について~
当院では手術の際に、動物の負担を最小限に抑えるためにペインコントロールをしっかり行っております。
ペインコントロールとは、動物にとってストレスとなる痛みをモルヒネなどを使用して和らげる治療法です。私自身、20年以上前の勤務医時代より、ペインコントロールについて取り組んでまいりました。信じられない事かと思いますが、私が勤務医時代だった当時は、動物の手術の術前・術後に鎮痛剤を使わずに行っていました。
手術をしたにも関わらず、亡くなってしまったり、完治が遅れるには痛みのストレスによるものだと感じていました。そういった経験から、当時はまだ取得している獣医師が少なかった、麻薬取扱者の免許を取得しました。
当院では、局所麻酔はもちろんの事、傷口を縫う際も鎮痛剤を使用する事で、動物のQOL(生活の質)を維持するとともに高い治療効果を実現させています。
手術の流れ
しっかりとした術前検査
体調が悪い状態で手術を行うと、麻酔や手術のリスクが高まることがあります。そのため、手術の前に血液検査・レントゲン検査など健康チェックを行う事で、手術が安全に行えるか判断します。
安全な手術を行うための術前処置
手術前に点滴や抗生剤、鎮痛剤を投与し手術に向けての処置を行います。
術中の徹底的な麻酔管理
麻酔や鎮静剤、鎮痛剤は、年齢、健康状態、手術の種類により適切なものを使用します。手術中は、生体モニタで呼吸機能や心機能などをチェックし、麻酔管理を行っていきます。
状態の変化があった際は、麻酔の濃度の調整や呼吸機能・心機能の安定にむけた処置を行います。
安心の術後ケア
手術の終了後は、入院室にて状態をチェックしながら鎮痛剤や点滴を行います。痛みが和らぐ事により、早期の体力の回復や食事が食べられるようにします。
当院で行う主なペインコントロール
持続定量点滴(CRI)
鎮痛剤を連続的に静脈内に注入する方法です。機械にて安定した濃度を維持しながら、投与される事でその効力を発揮します。
モルヒネ
人でも癌の痛みを和らげる際に使用される強力な鎮痛剤です。
フェンタニルパッチ
モルヒネよりも強い鎮痛作用を持つフェンタニルを貼る薬です。ゆっくり効くため、効果の持続性が高いものです。
神経ブロック
痛みを発生している神経を局所麻酔等で働きを停めてあげる事により痛みを軽くする方法です。